鳥取生まれの洋画家。1915年、上京して白馬会葵橋洋画研究所へ通い、翌年東京美術学校西洋画科に入学。藤島武二の指導を受ける。 1921年に卒業し研究科へ進み、同年の第八回二科展に初入選。1922年には渡仏し、2年半滞在。佐伯祐三らと親交する。特にクールベの写実主義に傾倒する。1925年には帰国、帝展で特選受賞。翌年には里見勝蔵らと一九三〇年協会を設立し第一回展を開催。同年、湯島に前田写実研究部を開設し指導にあたる。1927年には著書『クールベ』を刊行。1929 年、パリ留学中からの仲間たちと帰国後に設立した第四回一九三〇年協会展に『棟梁の家族』などを発表、同年の第十回帝展では『海』で帝国美術院賞を受賞。1930年他界。享年33歳。制作活動は10年も満たない中、大正末から昭和初めの日本の洋画界に大きな足跡を残した。特に裸婦や人物画には西洋美術学んだ写実的で詩的な情感をあわせた新しい絵画表現であり如実に現される。