岸田劉生
きしだりゅうせい大正、昭和初期の洋画家。銀座に岸田吟香の四男として生まれる。明治39年東京師範附属中学を中退し絵に専念、同時にクリスチャンになる。白馬会の葵橋洋画研究所で黒田清輝に学び、43年第4回文展に19歳で入選。白樺派同人との交友を深め、大正元年にはフュウザン会の結成に参加。自画像や「バーナード・リーチ像」など、肖像画を多数制作。その後印象派の作風から一転して写実に向かう。油彩による細密で徹底的な写実表現を追い求めた。大正5年に肺結核と診断され、その後各地を転々としながらも、「麗子像」など傑作を残す。大正9年頃からは初期肉筆浮世絵や宋元画などに傾倒する。昭和4年、満州鉄道の招きで満州に50日滞在後、山口県徳山に立ち寄り、同地で客死。未完の「徳山風景」が絶筆となった。
岸田劉生 査定のポイント
岸田劉生は、日本美術史のなかで写実性と精神性を追求し、日本人にとって油彩画の世界をどう消化するのか、試行錯誤を繰り返し取り組んだ油彩画のジャンルに於いてもっとも重要な画家だと言っても過言ではないでしょう。わかりやすい「綺麗な絵」など一点たりともないこともこの画家の特徴です。どんなものであれ、きちんと丁寧に評価させていただきますので、ぜひご相談下さい。
岸田劉生 査定のポイントについて詳しく解説します。
POINT 1
高く売れる図柄
岸田劉生は愛娘を描いた重要文化財のものもある「麗子像」で知られており、油彩画のイメージが強いですが、実は日本画をたくさん描いています。これは簡素なものなので、油彩画と比較すると評価は下がります。ただ、岸田劉生の心の世界を描いている、という意味では大変興味深いです。
彼の作品は水彩画も多いです。日本画と水彩では、形式が違いますが、やはり麗子像や村娘像の図は評価が高いです。
さて、さいごに油彩画です。御存知の通り、麗子像の一つはかつてオークションレコードを作ったもので、数億するのは当たり前の世界です。オークションに出品されたものだけでなく、たくさんの麗子像、そして麗子の友達の村娘、「お松」を扱った作品は極めて高価な作品となります。
作品の価格は要するに需要と供給で決まるわけですが、誰も欲しがるような岸田劉生らしい作品は、数億円しますし、ああ、こういうものもあるのね、という作品はそこまで評価が高くありません。
「億」と軽く書きましたが、日本の美術品は残念ながら、一般論としては、1億を超えるものはまれです。ただ、今まで「麗子像」は億を超える取引が存在したので、これからもその値段で取引される可能性を売り手も買い手も納得すればその金額で取引される可能性は十分あります。
一方で、作家性が顕著でないものについては、意外なほど評価を低くするべきな場合もあります。
サイズも小さい作品でしたら、極めて安い場合もあるでしょう。
岸田劉生の作品は数十万から数億まで、さまざまな作品が存在することになります。
POINT 2
制作年代と評価額
若い時の作品は写実的、しかも迫真の写実ですが、光学的リアリズムを追求するというよりも存在の本質に迫るような描写である一方、ひそかな美術史的引用もあり、あるいは風景画も単に美しいというよりも、風景の強度のある描写が目立ち、評価するべき作品が豊富です。「デロリの美」に移行する晩年は日本画を描く一方、一筋縄では行かないケレン味のある作品もあり、これらをどのように評価するのか、単純な方程式はありません。また一般に高額品は売りに出ることがまれなため、どういう売り方・買い方をするにせよ慎重な評価が必要になります。
POINT 3
鑑定書について
岸田劉生は日動画廊内にある「劉生の会」で鑑定・登録を行っています。鑑定費用はデッサンで5万、油彩で10万ほどかかります。
私どもでは、鑑定に出すべき作品かどうか、真贋判断の可能性、評価など、事前に無料にてアドバイスさせていただきます。
買取の際の鑑定書取得のサポートも行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
岸田劉生の鑑定機関:劉生の会(日動画廊内)
岸田劉生の作品例一覧
岸田劉生作品の相続
絵画骨董買取プロでは、岸田劉生作品の査定だけではなく、相続査定評価書の作成も行っています。
相続や企業様の美術品評価が必要な場合はお気軽にご相談ください。