猪熊弦一郎を
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香川県高松市に生まれる。1922年、東京美術学校洋画科に入学し、藤島武二に師事する。1926年「婦人像」で帝展に初入選を果たす。その後「座像」で特選に選ばれる。1938年、フランスに移りアンリ・マティスの指導を受ける。この時、マティスに自分の絵の批評を請うと「お前の絵はうますぎる」と言われ、これを自分の画風が出来ていないと捉えて愕然とする。以来、自らの画風を模索する歳月を過ごす。1940年に帰国。ひとつの形式にとらわれずに果敢に創作を続けた。1955年渡米、NYで1973年まで活動。1974年銀座のギャラリーミキモトで隔年ペースの個展開始。1980年、勲三等瑞宝章を受章。1989年半蔵門線三越前駅の壁画完成。1991年、丸亀市名誉市民。1993年毎日芸術賞受賞後に逝去。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館開館。パリ時代の作品の一部と、ニューヨーク以降の作品の大半を所蔵している。
無類の猫好き 猪熊弦一郎
国際的な抽象画家として知られる猪熊弦一郎は大の猫好きで、一度に猫を1ダースも飼っていたことも。そんな猪熊弦一郎は猫を題材とした作品を何百枚も残しています。
猪熊弦一郎の描く猫はとても表情豊かで、愛嬌に満ちています。描かれる猫は机の上や人の肩、頭の上に乗っています。猫の自由奔放な姿に純粋さを感じていたのかもしれません。《猫によせる歌》や《ふたりの裸婦と猫》といった作品にはフォーヴィスムやキュビズムなどの影響が感じられます。
最も猫を描いていたのは1950年代、猪熊が50歳の頃です。しかしニューヨークに魅せられ、抽象絵画に没頭して以降はほとんど猫を描かなくなります。丸や四角や色彩という抽象の中に猫を描くことができなかったのでしょう。
1956年にニューヨークのウィラード・ギャラリーで個展を開催し、同画廊の所属画家として活動を始めてからは、約2年ごとに個展を重ね、10回も個展を開催しました。
当時のニューヨークは、パリに続く美術の中心地という地位の確立期でもありました。抽象表現主義が台頭し、その後もポップ・アートやミニマリズム、コンセプチュアル・アートなど多種多様な美術思想が渦巻いたこの場所で、猪熊弦一郎の抽象画は花開きました。
既に50を超えていたにもかかわらず、具象から抽象への大きな転換を果たしたことは、猪熊弦一郎の絵画へのひたむきな姿勢が現れています。
抽象画を描き始めて猫をぱったりと描かなくなった猪熊弦一郎ですが、80歳を過ぎた頃再び作品の中に猫が現れます。題名もついていないような小さな作品ですが、柔らかな線や表情からは猫への溢れんばかりの愛情を感じます。猪熊は猫がふすまを破いても、それは猫の作った作品だからと怒らなかったそうです。《猫と食卓》のような、青い机に数匹の猫が乗っている絵は、猫を愛する猪熊だからこそ描けた絵なのでしょう。
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