銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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JFKからさようなら

   

ホテルのチェックアウトはあっけない。カードでの支払いにしたので、合計の確認だけ。一週間近くも滞在したのにもかかわらず、ありがとうございましたも、又ご利用下さいも何もなし。素っ気ない物である。次は泊らないだろう。

 

ただおしなべてアメリカの「サービス」はこんなもんかもしれない。余計な装飾のないミニマルサービス?日本的な丁重さを求めても無駄かも。

 

帰りのタクシー、JFKと違う方向、北向きにずんずん進む。I think this is the wrong direction,isn’t it? と確かめると、「タクシードライバーはみんな悪いと思ってる人が多いが、俺はまじめにやってる、それじゃ、どう道が間違っているか、言ってもらおうじゃないか、その通りいくよ。」

てなことを言われて戸惑う。確かに、結局かかった料金はフツウであった(50ドルくらい)

そのアジア出身のドライバーは、アメリカが嫌いだという。嫌いだが、こんなハナシをすると盗聴されている事などが多く、危険だという。被害妄想的に感じたが、電話や無線は「エシュロン」でチェックされていて反米的思想販に神経質になっているアメリカ当局の事はニューズウィークだかアエラだか忘れたが読んだことがある。このブログもチェック?されたりしてね。しかし反米といいますか、アメリカさんが殺した人の数、というのは有史以来数知れないのだから、それに反発する言論のチェックなんて細かくやり始めたらきりがないと思うけどね。

 

それにしても、そこに住んでいる人間がその国を嫌い、というのはチト悲しいことである。これは彼のものの見方の偏狭ぶりを示すのか、それとも普遍性を持っていえることなのか。

 

アメリカ人、あるいはWASPはマネーだけが行動基準だという。あとは表面的なことだと。

 

しかしそれは日本人であれ、誰であれ、「経済」が行動原理の基本にある、ということは現実だと思う。全ての思想や宗教的な信念も、歴史の大勢は経済、すなわち、食えること、そしてより快適に生きること、に規定されている。

 

人間がより高尚な感情で生きるべきだ、という事を前提にするよりも、大抵人間はたいしたことない、と思っていた方が、ひとつひとつの事象に対して、寛大に、丁寧に見ていけるような気もする。

 

とはいえ、タクシードライバーの、この国の権力者、Whiteに向けられた怒りというものはそれはそれとして無視できないものだろう。ただ結局、それぞれの個人なり民族なりが実力で道を開くしかない。

 

飛行機に乗り込む。ANAのスチュワーデスさんは、いかにも日本的サービス。何事も先回りして何くれとなく面倒を見てくれる。荷物どかしましょうか?飲み物お持ちしましょうか?あかりをつけましょうか?青竹踏みでもどうですか?ぶっきらぼうなアメリカ人に疲れた後は、少しうっとおしいながも、何となく、嬉しい。

 - エクストラ

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