銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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本を出しました。

   

アートコレクター入門、という本を出しました。

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企画自体は5年ほど前からあったのですが、出版社さんの決定や原稿のやりとり、練り直し、さらにはコロナ騒ぎなど、もろもろ時間がかかって苦節(^^)5年!かかってやっと出版に漕ぎ着けました。

今全国の書店さんに並んでいるはずです。例えば京都丸善さん。

出版日が3月初旬で、いっせいに全書店に取次から配本されるらしく、あとは書店さんごとにいくつ増やすかなど調整があるらしいです。私は全国に出張行くたびに本屋さんに立ち寄ってどんな扱いかそっと見ているのですが、多くの書店さんでアート関係のいい場所に置いていただいているようで、これは平凡社さんとブックデザインの松田行正さん、杉本聖士さんの力のお陰で、感謝に耐えません。

また、この本が出版できることになるには多くの人のご助言があったのですが、一番の後押しをいただいたのはご近所の銀座・柳画廊の野呂洋子さんです。ブックコーディネーターの方をご紹介いただいたり、「画廊」として「書籍」を出される先輩としてのアドバイスを様々いただきました。

平凡社さんも、大変丁寧な本作りをしていただきまして、近頃では驚くような分厚い仕立てで高額な本に仕上げていただきましたが、デザインがいいので読みやすいと評判です。

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さて、肝心の中身ですが、実は「小説」仕立てになっています。

アートについて、ちょっと興味はあるものの、経営に役立つ、という考え方には懐疑的な若いレストラン経営者・栗田が、架空の画廊「春草堂」のアート教室に通うなかで、真正のコレクターとして目覚める、という内容です。

ほとんどは架空の美術商にして先生役の「田中千春」のセリフでアートについてよもやま話を語るのですが、口さがない、遠慮がない曲者揃いの生徒たちが気ままに「先生」にツッコミを入れつつ、アートとアートコレクションの「本質」に気がついていく、という格好になっています。

実は、この本はアートコレクターだけでなく、アーティストの卵にも読んでいただきたい内容になっていまして、「売れるための条件」なんてことを盛り込んでいます。この内容を「買う」方も「売る」方も参考にしていただけるといいかな、と思うのです。

実は美術の面白いところは「買う」「売る」ことにすべての人がかかわることです。

「売る」のはアーティストだけではありません。画廊も、卸商人も、百貨店も、そしてコレクターも、その子孫も、オークションも「売り手」です。

「買う」のもコレクターだけではありません。アーティストも、画廊も、オークションも、時には「買う」立場になりうるのです。そのとき、価格的にはどうか、アートの評価としてはどうか、ということは、どの立場にいても共通の要素があるのです。

そのへんが「野菜」とか「お菓子」とか「マッサージ」など他の商品との違いです。つまり、アートは生まれた瞬間無限の命を持つことを前提としているので、千年経っても流通することを前提としている唯一の商品であることからの特殊な事情があり、そうであるからこその「特徴」があるのです。

・・・・と、いうわけで、この本はそういえばアートフェア東京と同時の発売になりました。3月9日だったかな。その時の写真が下。

この本、立ち読みして買うかどうか考える人には「あとがき」を読んでね、と言ってます。この本を出す直前に書いたエッセイ?なので、この本に込めた思いが簡潔に書かれています。

買って、読み始める方も、「あとがき」を最初に読むといいかもしれません。最近、この影響で、他の本を読むときも、僕は『あとがき』から読むようになりました。

と、いうわけで、平凡社刊、田中千秋著『アートコレクター入門: 銀座老舗画廊の主人と学ぶ特別教室』をよろしくお願いします!

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