銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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中原亜梨沙個展始まる

   

中原亜梨沙の個展は本日からだ。たいへんな盛況だ。

彼女の個展は久方ぶりになる。多くの方がこの日を待ってくれていた。

これまでに、彼女の絵はいくつかの企業イメージなどに使ったいただき、その緻密で華やかな画面を覚えていただいた方も多いと思う。

本人としても、最近では、タイでのポカリスエットさん主催のマラソンのイメージポスターや、草凪優さんの小説『ジェラシー』の表紙などを経験して、表現や考え方の幅が広がったようだ。

タイ「マラソン」イメージを決めるにあたっては、中原女性像のイメージのうち、どんな顔がよいと思う人気投票を経て「顔」を注文したようで、いかに彼女の画業が自然にタイに受け入れられているかが窺えた。

最近中原が考えていること。

なぜ自分の描く女性像を「女性」と皆決めてしまうのだろう、女性性というものを人はなぜ判断できてしまうのだろう、女か男か瞬時に決めてしまえる人間の能力は、かえっておそろしいものではないか。

たしかに彼女の絵は記号的で、「情念」とか「重み」のようなものとは無縁に見える。むしろ軽快で鮮やかで、明るい色に満ちている。そこに描かれているのは「女」という記号であって、生身の「女」とは違う。

 彼女のファンだという作家の草凪優さんは、アンドロイドをテーマに小説を書くのにあたって、彼女の「女性」達がアンドロイド的であることに思い至り、表紙を中原に依頼したという。

画家は我が意を得たりとばかり表紙デザインを提供した。他の「美人画家」であれば、アンドロイドとはとんでもない、これは生身の女であると応じたことだろう。けれども彼女は「アンドロイド」的なものをまさに描いているのだ。誰もが愛する、無機質だが美しい「何か」。

デザイン的で美しい蛍光色の彼女の「日本画」は、まったく日本画的ではない。あくまでも人工的で無機質な完成度を保つ。本人も戸惑いながら作るこの艷やかな平面に人々は魅了される。多分今後も街で彼女の作ったイメージは増殖していくことだろう。

今回の個展、次はたぶんまた先になる。ぜひこの機会にお見逃しなく。

展覧会情報

展覧会情報(ぎゃらりい秋華洞)

会期:2018年12月7日(金)~16日(日)

場所:ぎゃらりい秋華洞 時間:10:00~18:00 会期中無休 入場無料

※Xmasアートフェスタのため12/7(金)は21時まで営業

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