銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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棟方志功の鑑定・査定について

      2018/06/26

棟方志功(むなかたしこう)の問い合わせが最近なぜか若干増えているので、少しここで書いておきます。

むなかたしこう

ムナカタシコウてですね、これはすごく強いコンテンツです。ともかくその存在感が衰えることがない。いわゆる相場も、あまり下がらない。

棟方志功は、何か、青森、あるいはニッポンの土着的なものから、直接養分を吸い上げて育てたような画風です。そもそもハイカラな洋風版画の勉強から始めたにもかかわらず、辿り着いたのは誰にもマネの出来ない絵。八百万の神様、女性、エロスへの崇拝を謳った作風。どこか、あけっぴろげで、気がつけばそこに棟方がいる。その世界は、何か、日本に古来からいる、「カミ」とつながっている気がします。
 そして、鑑定の話。
 実は、真贋の白黒をつける「鑑定」にかんしては、棟方志功の場合、「棟方志功鑑定委員会」というものが存在しまして、ここがやることに決まっています。有料です。
 ただし、棟方は非常に贋作が多いんですね。また、なぜか木版のリトグラフや、複製など、素人目にはわかりにくいエスタンプ(複製)もあり、さらには風呂敷やハンカチにプリントしたものなど、いろいろあって、ややこしいことこのうえない。さらには、「鑑定シール」にも、よくできた偽物があって、人間不信になりそうになります。
 ですので、できれば鑑定委員会にいきなり持って行くよりは、私どもで見させていただくのを、おすすめします。上記のように、100%ダメなことが明らかな品物は、やはりありますので、まずは、私ども美術商で見たほうがよいと思います。そのうえで、鑑定委員会を訪ねましょう。もちろん、私どもでお預かりして、持っていくことも可能です。
 棟方はもちろん、版画(板画)とばかり限らず、肉筆作品(倭絵・やまとえ)や、油彩画も多数あります。書も。どれも、なかなかよいのですが、評価が高いのは、やはり本業である版画です。私どもとしては、多数お客様もいるので、ぜひお譲りいただきたい銘柄です。「なんとなく幾らかな」「これ鑑定だした方がいいのかな」と思ったら、どうぞご相談くださいね。昨日の記事に忙しい忙しいと書いてますが、これが仕事ですので、ちっとも忙しいことありません。遠慮無くご相談ください。

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