銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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近頃のこと。忙しかったり、なんだったり。

   

 近頃は、査定がかなり忙しい。ウチはいわゆる「買取専門店」ではない。そうとうに積極的にやっているが、カタログもあれば販売サイトもふたつもあり、海外向けのサイトもあり、扱い品目も広い。なので、社員はそれぞれ皆エキスパートだし、結構忙しい。なので、査定の仕事も、ひとりでこなさなければならない場面も多い。「社長みずから、恐れ入ります」なんて言っていただくが、社員もそれぞれ忙しいのだ。自分でやれることは自分でやってください、なんてスタッフに言われたりする。もう少し自分のアシスタントも欲しいのだけど、今は少し人が足りないので、頑張るしかない。
 父が亡くなり、産休などで人も少し減り、僕はともかくなるべくゴルフやのんびりする日は減らしている。自分は社内エンジニアとして、ソフトウェアも作るし、ウェブの管理もやるので、こちらの仕事もゆっくりやりたいが、土日をつぶしても、なかなか回らない。
 しかし、こうして頑張っていると、ご縁はあるもので、様々な美術品をお客様から譲っていただいた。この土日だけで、数名からかなりの点数をゆずっていただいた。次のユーザーに行くまで、うちの倉庫などで眠る時期を経て、また世に出て行くのである。
 うちは、査定はかなり色々やっている。軸物も、日本画も、洋画、浮世絵版画、陶磁器、現代アート。そんなに色々やれるわけがないだろう、という声が聞こえてきそうだ。そう、もちろん。社内外にエキスパートがいるからできることだ。この厳しい時代、自分の専門分野も増やして行かなければ生き残れないし、各分野のスペシャリストに協力していただくことも、大事な仕事だ。今が一番の頑張りどころで、もう一回りもふたまわりも成長するべき時だと思う。
 そして、行く先々で、さまざまな出会いがある。必要なときに、必要な人に会える気がしている。実際のところ、仕事は失敗もたくさんあるし、恥をかいたり、頭にきたり、いろいろあるが、そこをどう考えるか。思わぬ時に、自分が反省できるポイントを言ってくれたりする人にも出会う。散髪屋さんとか、マッサージの人とかさ。飲み会でたまたま一緒だった人が、シビレル尊敬できる人だったりさ。
 最近は、美術の諸先輩がたに、女性がいる店に連れてってもらうことも多い。よくネタにされるのが「こいつ、東大なんだぜ」という東大ネタだ。先生と呼ばれるほどのバカはなし。東大と呼ばれて喜ぶ程のバカはなし。ニヤニヤしても、仏頂面していても様にならぬ。それぐらいしか取り上げるネタがないくらい無能という事か。まあせいぜいそんなネタ忘れられるくらいになるさ。「リング」の中田秀夫監督や、俳優の香川照之(この人同級生なのだ、面識ないけど。)が東大だなんて誰も話題にしないもんね。今さら。
 こないだはそういうネタ振りがあって、その場にいた某美術館館長さんに「東大なんてナンの役にも立たない。目利きかどうか、それだけだろ!」といきなり面罵された。そのとおりだぜ。アタリマエのことを言ってくれてありがとう。参考になるよ。
 おまえは東大かしらないが、美術の世界、商売の世界じゃナンの役にも立たないぜ、おまえは一体実際はどういうニンゲンなのさ、といつだって問われているのだ。誰もがそう思っていることは当然のコトだ。
 大学では本当の実力、マネジメント力、人間力、そんなものは教えないし、教えられない。日本の大学は、そこの試験に受かったかどうか、だけが問題にされる。本当に何を学んだのかなど、問われない。しかし、本当に必要なのは、何を感じて、何を自らやって、どれだけ「失敗」したかだ。「失敗」のない人生に学びなんて、ない。器用に高給取りになろうが、ナンになろうが、何の価値もない。
 いまの安倍総理に魅力があるのは、彼が失敗を経たからだろうと思う。挫折して、もういちどチャンスを掴んで、良かった。最終的にどうなるかわからないが、挫折を心待ちにして手ぐすね引いている「いわゆるサヨク」とマスコミを乗り越え、頑張って欲しい。原発推進はどうかと思うし、小林よしりんも安倍さんには舌鋒厳しいが、政治思想はどうあれ、きちんと統治できているのはすごいと思う。
 大学歴を誇ったり、嘆いたり、することに意味があるとは思わない。一度きりの試験に、受かったかどうかで、人の価値が決まるわけがない。東大にストレートで入って卒業しても、ろくでもない奴がたくさんいることは、みなさんご存知でしょう?鳩の脳みそがつまっていると思われる政治家とかさ。高校の先輩と話していても、だれかどこの高校いって、とか大学いって、とか話題にする人が案外多いのには驚く。どうでもいいじゃないの?ニンゲン、本当に何をなしたか、何をしたかったか、じゃないのかな。何十年前の何年間かが、そんなに大事なのか。大事なのは今、今、今、今、今、この瞬間、そして未来に何をしているのか、したいのか、するのか。過去を問題とするなら何をそこから学ぶのか。
 武蔵高校は今進学率が落ちてヤバイんだそうな。今や週刊誌でも「アザブカイセイ」で「御三家」の一角ではないそうだ。僕は諸先輩方の武蔵愛が強すぎて武蔵はダメになったと思っている。本当にニンゲン育てるってどういう事なのか?過去の栄光なんて全否定しないと、いい学校なんてできないに決まっている。過去の栄光にすがるヒト、組織、必ず没落する。ソニーも、パナソニックもシャープも、どこかへ消えようとしている。今、あたらしく、自分の会社を作る、学校を作る、日本を作る、そういう気概がなければ、あかんねん。あかん。
 今、やっていることが、周りの人にどう伝わるか、「心」が伝わるか。そこだけが大事なんだ。いつだって誤解はされるし、自分が馬鹿やって、怒られることもあるけど、それでも「今」を生きること。それでしょう。はい。
 
 
 
 

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