銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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地震と原発の情報整理

   

週はじめ、友人が突如姿を消した。
と思ったら、子供を連れて避難したという。原発事故でいてもたってもいられなくなったと。
今週は交通機関の混乱を受けて、自宅待機の会社も多いと聞くので、会社の対応やら、家族をどうするかなど、気を揉む一週間であった。
そこにこのニュースである。水面下で田舎に子供を連れて東京から避難させる女性がいるようである。もとより、海外からの移住者、転勤者、それと仕事の場が自由な富裕層はとっくに海外に向かったとか。
東京に残る我々はどのような判断をすべきか。今週は走りながら考えて、結局会社は全く通常通り、家族の移動もさせなかった。
しかし、原発の状況というかリスクも、次回の余震のリスクも、正確なところは判断するのが難しい。そこで、今日は自分なりの情報分析につとめてみた。
役に立ったのは、やはりtwitterだ。ホリエモンや、宮台真司など、情報感度の高い人間をフォローしていると、さまざまなニュースソースへのリンクが手に入る。
ちなみに堀江氏は、東京にいることに何らリスクはないといい、宮台氏は、原発のリスクを低く言う人を批判しているらしい。ただ宮台氏のツイートはRTが多いので、本人の意見をくみ取るのはやや手間がかかる。
また、現在の総合的な視野を得るコラムは
が便利であった。この中で、トップ記事やアクセスランキングを見ると、比較的新聞テレビだけでは死角になりがちな識見が得られるように思う。
さて、何より今の場面で知りたいのは、原発事故の「実際のリスク」だ。
「現状ではただちに健康に影響はない」と繰り返す、枝野氏やテレビコメンテーターの「大本営発表」では、「では長期ではどうなのか」あるいは「明日最悪の事が起きた場合、どこまで最悪の事が起こりうるのか」がわからない。
煎じ詰めれば。
会社を閉めるべきか、家族を逃がすべきか。
というテーマを判断するための材料がないのだ。そこで、気の早い人間や、東京にしがらみ(仕事場、住居、家族)がない人はそんなことよりスタコラ逃げる。その方が早いからだ。何より、みなが逃げ初めてからでは、道路が混雑して動けないことは、3月11日に知ってしまったのだ。
いろいろ見ていくウチに、識見については賛否両論あるものの、その「リスク」の見積り方としては分かりやすい自称原発の専門家の「武田邦彦氏」のコラムを発見した。
武田邦彦氏のコラムページ
このHPの一連のコラムを見ると、現在乱れ飛んでいる放射能をはかる単位の「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト」という単位と、そのマスコミでの使われ方の粗雑ぶりがわかりやすく理解できる。その他、原発のリスクや放射能について、基礎的な解説がある。
何よりニュースなどで、「累積シーベルト」「時間あたりシーベルト」が混同されているのがひどい、という事はよくわかった。
こうした類の数字の扱い方については、妻と話していてもつい腹が立ってしまうのだが、妻をふくむ世間では、次に震度5以上の地震が起こる可能性が「40%」だとか「20%」だとか、そういう話で明日の予定を決めてしまう傾向があるようだ。だが、その地域範囲と期間を決めて可能性を考えなければ、何も考える材料にはならない。
たとえば、東京23区で、震度5以上の地震が、日曜日におこる「可能性」と東北・関東・東海のどこかで、むこう7日間で、震度5以上の地震が起こる「可能性」は一緒ではない。仮に後者が20%としたら、前者は1%、とか例えばそうした計算をしないとそもそも行動の指針にならないが、大抵の人は、中学高校で習った確率計算の話なんか忘れているか、興味がない。
しかし、事は原発である。命にかかわる。会社と家族の経営にもかかわる。逆に命にかかわりがないのに、仕事をほったらかしたら、メシが食えなくなる。メシが食えなければ、やっぱり継続的には命にかかわるのである。
ところで、この武田氏の論法には、粗雑な点がある、と指摘する人もいる。次のコラムである。
『武田邦彦氏の功罪』NATROMの日記
白血病になるリスク、や再臨界について、武田氏の議論が誤解を含んでいる事を指摘している。どんなわかりやすく見える言説でも、100%信じてはいけない、という事がここで示唆されていると思う。ちなみに武田氏の評価はWikipediaでは著しく低い。だが低いからといって、100%ダメと決めつけるのもこれはよくないと考える。
ちなみに最悪のリスクを悲観的にとらえたいなら、広瀬隆氏の動画を見るのが一番である。
広瀬隆 ユーチューブ
広瀬隆は、私たちが大学の頃から、とっても有名な論者だった記憶がある。原発の反対論者であった筈だ。
ただここでも語り口があまりに上手い分、若干割り引いて私は考えたい。また、マスコミや政府の批判が得意だが、責任を持って、現在では私たちは何をするべきか、という事を考える上では、危機感は感じられるものの、リスク(つまり避難するリスクと避難しないリスク)を考える材料に乏しい。すなわち幾分無責任な感じがするのだ。
直接関係ないが、ホリエモンに私が時々注目するのは、彼が案外責任を持った発言をしているように感じることだ。元経営者の目というか、「批評家」的に逃げない。かれは「東京は安全」という。彼の判断として言うのだ。ぐにゃぐにゃ後でイイワケが出来るように、煙に巻く、ということをしない。正直ともいえる。ふてぶてしさと無礼さ、下品さ、攻撃性には呆れる点もあるが、おおむね好感を持っているのはその潔さじゃないかと思う。
原子力資料室
ここは記者会見など動画も配信している。だが、幾分党派色が強く、スタッフ
の顔つきは私の偏見ではあるが、いわゆる市民運動家の思想から発している部分も感じた。反原発ありきから来ている部分は、いまの状況ではノイズになってしまう。だが、もちろん情報としてはエッセンスを見て、取捨選択すればよい。
さて、BLOGOS(ブロゴス)で紹介されたブログ。
疎開をテーマにしたもの。
『「逃げろ」「逃げるな」ではなく』 小松原織香
『「疎開」のすすめ』内田樹の研究室
 内田樹氏は『街場の文化論』『日本辺境論』など、ユニークな視点でユーモアをまじえ穏やかに大胆な主張をする、信頼すべき論者だ。
 ただ、日本語による情報を読み取る力のない外国人や、情報リテラシーのなく、かつ東京にしがらみまたは責任のない人がヒステリックに東京から脱出する事は仕方がないが、それ以外の人が無闇に疎開する必要があるのかどうか、よく考えるべきだろう。
 
海外からかなり関心を持ってもらっている事がわかってきた。写真の力は大きい。同じくブロゴスで紹介されていたブログ、メディア。
『被災地に入る海外メディア、独自ニュースの発信を始める』田中善一郎
boston.com 写真
海外メディアは、日本にはない視点が入って、よいのだが、一方で、思い込みによる間違った情報もありそうだ。日本語の情報の誤読が混じるからだと思われる。まあ逆に私たちで英語や外国語の誤読もあるかもしれないが。
だいぶん、海外から救助隊や援助金も集まってきているらしい。日本人の「普段の行い」が報われているとしたら、嬉しい。はてはロシアから「この機会の北方領土を返そう」なんて論者も現れているとか。
ロシア大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」の著名女性記者のユリヤ・カリニナ氏
原典をネットで見たいが、ロシア語で探す能力がない。
本当に返してくれたら、ものすごーく恩義に感じちゃうから、お願いしたいところですけれども。

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