銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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ホリエモンの「君がオヤジになる前に」を読んだ。

   

ホリエモンの「君がオヤジになる前に」を読んだ。

彼の言葉は、借り物でなく、既成の権威を恐れず、自分で考えているので、面白い。言葉の生の響きがある。小林よしのりが時々キラリと光るのも、周囲の期待も批判も裏切る勇気があって、同様の魅力があるからだ。
この本でやけに堀江がこだわっているのが、「人に分け与えることの出来る人物」「ゆとりと魅力のある人物」だ。自分はなれないし、なりたくない、人の気持ちなど、考えたくない、切り捨てて生きてきたし、それでよいと思っている、けれども、気になる、もしかしたらそちらも大事なのかな、と珍しく否定しきるのでなく、留保する表現になっているところだ。
私が彼に違和感を感じるのは「家族」や「社員」に関するドライな考え方だ。そして、この本には出てこないが、「伝統」や「歴史」への軽視、そして小説などの「物語」を無駄と切り捨てる無教養ぶりだ。
総じて、愛情のない、育ちの悪い家庭環境であったことが推し量られるのだけれども、しかしながら、その中で、自分の論理で世界を切り開いてきた力強さと頭の良さ、整理能力、創造力が彼の魅力だ。
その彼が「ゆとり」人間に対する形容しがたい「敬意」の正体を自身で掴みかねているところがなまなましくて面白い。
彼の言うところの「ゆとり」人間、が私が目指すところと同じなのかどうかわからないが、人格を鍛え上げる、ことを目標とするならば、何か重なるところがあるように思う。魅力のあるヒトのそばにいれば楽しいし、自分もヒトを楽しませる事のできる人間になりたいものね。

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