秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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江戸の園芸熱

   

たばこと塩の博物館で開催中の「江戸の園芸熱 浮世絵に見る庶民の草花愛」へ行ってきました。

以前は渋谷にあった同館ですが、墨田区に移転しています。

当日は良い天気、スカイツリー駅で降り立ちました。

目の前にそびえるスカイツリーは大迫力!

10分ほど歩くと・・・。

花見を楽しむ江戸の人々、芝居の中の植物、

草花をモチーフにしたカワイイおもちゃ絵など。

ゆったりした館内、ミュージアムショップもあります。

 

今のようにテレビやテーマパークのない江戸時代、四季折々に咲く花の名所を訪れることは何よりの娯楽でした。

浮世絵にはそうした数多くの名所を楽しむ様子が浮世絵の画題になっています。

庶民の花見ブームのきっかけはなんと八代将軍吉宗。

上野の寛永寺は桜の名所で多くの人がお花見を楽しんでいました。

ところが、幕府が寛永寺の境内でのどんちゃん騒ぎを禁じ、

そのかわりに庶民のために桜を植樹、開発したのが品川の「御殿山」と王子の「飛鳥山」だったのです。

花見を楽しむ庶民の姿が浮世絵に残されています。(ブログ掲載の作品は秋華洞収蔵の画像です)

広重「冨士三十六景 東都飛鳥山」

広重「江戸名所 御殿山花盛」

園芸ブームに一役買ったのが「植木鉢」。

長屋は庭がないので鉢植えを買って庶民は園芸を楽しんでいたようです。

芳玉「見立松竹梅の内 うゑ木売の梅」

芳玉は国芳と柴田是真の門人です。梅や松の植木が描かれています。

こちらは福寿草を吟味する女性。

芳年「風俗三十二相 かいたそう」

タチバナや万年青、朝顔のブームが起き、新しい花を生むと大金得られるため、

江戸でも町民が一攫千金を狙って新種の花づくりが行われました。

中でも一大ブームが起きた朝顔は突然変異の朝顔は変わり咲きと呼ばれ、高値で取引されました。

文化期後半には上野や浅草で朝顔の品評会が行われたり、朝顔の図鑑も出版されました。

 

こちらは茅場町の植木屋を描いた浮世絵。

広重・豊国三代「江戸の花 名勝會 茅場町植木店繁昌」

江戸の町に植木屋が増え始めたのは、明暦の大火(1657年)後のこと。

町の復興途上において起きた造園ブームによって、植木の需要が出てきたからなんだそうです。

 

「江戸の園芸熱 浮世絵に見る庶民の草花愛」は3月10日まで。

https://www.jti.co.jp/Culture/museum/index.html

グッズも充実して入場料100円ですので立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

 - 展覧会, 浮世絵