秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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義経千本桜~新歌舞伎座初の宙乗り~

   

現在歌舞伎座で上演中の「義経千本桜」。

6月の三部制での上演と共に話題なのが、四代目市川猿之助さんの新歌舞伎座での初の宙乗りです。

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義経千本桜は歌舞伎の名作としてこれまでにも繰り返し上演されています。

今回は、6月初めての3部制での興行として3人の登場人物にスポットを当てています。

宙乗りがある第三部は源九郎狐(げんくろうぎつね)が主役です。

そう、これは人間ではなく狐です。

都を追われた義経の後を追って、静御前は家来の佐藤忠信を伴って吉野にたどり着きます。

この忠信、時々姿を消すのですが、義経が後白河法皇から賜った「初音の鼓」を打つと

どこからとのなく現れるのです。

実は佐藤忠信は鼓の皮に張られた狐の子が姿を変え、鼓に付き添っているのです。

佐藤忠信の姿をした源九郎狐(げんくろうぎつね)。

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国貞「役者東海道 袋井 忠信」

佐藤忠信の姿で義経の前にあわられますが、下の浮世絵では左の忠信は左手が狐のような手つきになっています。

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国周「義経千本桜 狐忠信」

この源九郎狐が主役の「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場」、宙乗り以外に早替わりなど多くの見どころがあります。

 

1-87-87-2-a 義経

こちらは「おもちゃ絵 猫の狂言づくし」より義経千本桜 川連法眼館の場。

忠信は「狐」だとわかった場面です。

「さてハそなたハきつねじゃな」

「やまとのくにのげんくろうぎつねでございます)

このあと歌舞伎では一瞬姿を消し、再び狐となって登場しますが、

どのように出てくるかは舞台を見てのお楽しみです。

ちなみに三代猿之助さんの著書によるとこの早替わりはなんと2秒なんだそうです!

もちろん、その間衣装も変わります。

この場面だけでなく、早替わりは何度かあります!

さて、話題の宙乗りですが、3階席から見上げるほど吊り上げられます。

歌舞伎の舞台は舞台に向かって真ん中より左側(西)に花道があり、

そこから舞台に向かって、演技をするため左側(西)の席はどうしても、

花道上の役者の背中をみる形になります。

そのため、花道を沢山使う演目だと正面や右側(東)の席から埋まっていくことが多いのですが、

今回は西側の席だと、初音の鼓を義経からもらい、喜んで古巣に帰っていく源九郎狐(市川猿之助さん)が目の前に!

義経から鼓をもらい体いっぱい喜びを表現し、弾むような動きで「狐」になりきっている猿之助さん。

おススメの舞台です。

 

 

 

 

 

 

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