田中一村を
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栃木県下都賀郡栃木町(現・栃木市)に6人兄弟の長男として生まれる。父は彫刻家の田中彌吉(号は稲村)。 若くして南画に才能を発揮し「神童」と呼ばれ7歳の時には児童画展で受賞。また10代ですでに蕪村や木米などを擬した南画を自在に描き得た。 1926年、東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科に入学するがわずか2ヶ月で中退。 以後、南画を描いて生計を立てる。1947年、川端龍子主宰の青龍社展に入選。1955年の西日本へのスケッチ旅行が転機となり、奄美への移住を決意する。1958年、奄美大島に渡り大島紬の染色工として働きながら南国特有の動植物を濃密な画風で描く。昭和52年、無名に近い存在で個展も実現しないまま69歳の生涯を閉じる。
没後テレビ番組で紹介され一躍注目を集める。全国各地で展覧会が開催され、ようやく世に認められるようになった。
清貧の画家 田中一村
田中一村の代表作『アダンの海辺』は、1969年に奄美で描かれました。海を背に立つアダンの木は、鮮やかな実をみのらせ、葉はぴんと縦長の画面いっぱいに伸びています。田中一村の作品は大胆な構図と生命感溢れる動植物が特徴です。その真価は齢50にして単身奄美に移ったのちに発揮されました。
幼い頃から画才を目覚めさせた田中一村(本名:考)は、彫刻家の父から書画の教えを受け「米邨」と号し、南画家として活躍しました。20代前後の若き田中米邨の作品は今も各地で新出しており、当時の活躍ぶりが窺えます。
しかし彼の画業は順風満帆なものではありませんでした。中学卒業後に入学した東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科は、「家事都合」でわずか二ヶ月で中退。また、23歳の頃には「自分が本道と信じた新画風が支援者の賛同を得られず義絶した」ということが後年の手紙から知られています。身内の不幸が重なり転居生活のなかで、経済的に苦しいなか農作業や内職と並行して、絵を描く生活を貫き続けました。
この作品は、1947年に川端龍子主宰の青龍展にて初入選した『白い花』(田中一村記念美術館蔵)という作品です。画号を「柳一村」と改めてから初の作品でした。伝統的日本画という印象はありますが、画面を覆う緑に映える白の花の瑞々しさが美しい作品です。
しかし翌年の青龍展には落選、40代半ばを過ぎてからの日展や院展への出品は、全て落選に終わります。そんな失意と焦りのなか、1958年の冬、一村は画壇と縁を切るように単身で奄美へと渡りました。
奄美に転居してからは紬工場で染色工として働いて費用を貯め、ひたすら自分の絵と向き合う生活を続けます。小さな家で爪に火を灯す生活をしながら制作に没頭したその姿勢は、一村が清貧の画家と呼ばれる所以です。家族を養う生活や画壇から離れ、自身の良心を満足させるために描き続けた絵は、田中一村の絵画に対する強い情熱と執念が感じられます。
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