銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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YUBINOHA 指派

   

指、の字の次に、派、の字が来て、ゆびのは、と読む。の、はどこに行ったのか、ま、これは漢文だと思えばよい。ノ、は送り仮名だから、表記としては書かないのである。

この、ゆびのは、を提唱した池永は、日本画家。美人と金魚とネコしか描かない。男は書いてみる気ないの?と聞くと、黙ってニヤニヤ笑う。いや「えへへへへ」と声を出したかもしれないし、「描きません」と言ったような気もする。女も、年増は無理らしい。ウチの妹や奥様モデルにどう?といったが、どうやら20代でないとダメらしい。贅沢である。女は必ず年をとるのである。どうも奥さんをもらって、奥さんをモデルにしてみるのが理想らしいが、奥さんも人間で有る。いつかは年を重ねる。それとも30を過ぎると取り替えるのであろうか。それはずいぶん身勝手である。しかし芸術家は身勝手て当然、と開き直る手もある。

この「ゆびのは」に、今回から、参加してもらったのが、「阿部清子」さん。一児の母であるが、本人にも作品にも「眼力」のある人である。はじめて会ったのは、昨秋の「東美アートフェア」の私どものブースだったのだが、どんな凄い人が来るかと思ったら、やはりすごく印象的な人で、背が高くて、強い顔をしている女性であった。そして、優しい。「誠意」と「強さ」が作品と本人に漲っている。山水画もそうだけど、人物画・美人画もニンゲンの表現なのだ。たとえフィクションであっても、本人以上に真実を語る。古いのかなあ、でもそういうものじゃないですか?仕事というものは。

彼女の絵は荒削りで、あえて荒削りたらんとしているところがある。洗練されていく部分と、より壊していく部分と、両方必要な気がする。でも彼女のリアリティーのあるところで(想像も含めて)、ガツンとくるイメージを、あるいは魅力のあるイメージを作って欲しいと願っている。人物画、かく人、上手な人、いっくらでもいるんだけど、心にひっかかる絵を描ける人は、案外、少ない。難しいのだろうか。それは『金麦』のコマーシャルで、檀れいが、むしゃむしゃ、テレビカメラの前で、鍋をほふるのと同じくらい、難しいのかもしれない。

つまり、アタリマエのことが、案外、難しい。・・・のかなあ。もう一人の「ゆびのは」に出会いたい。と思っている。

というわけで、ゆびのは、よろしくお願いします。

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