銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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ポニョ、見ました

   

ポニョ、昨日家族で見に行きました。

よかったっす。

あえていえば、いつもの宮崎アニメみたいに、感動しどころがなく、全体にともかくファンタジーやりました、という感じで、今までで一番つかみ所がないのですが。

一方で、この人の作品は、毎回何をやりたいかが明確に伝わってくるのがいい。最初にタイトルバックが、もう恐ろしく手書きテイストで、しかもコマが飛んでいて、適当なアニメなんですね。同じ映画館で予告編をやっていたCGディズニーアニメとは正反対の世界。こういう素朴アニメ、つまりとなりのトトロ路線を、もっと徹底的にやろう、という意図が見えます。

アニメ、というのは、手で絵を描いて、画面を作る。だから、原則、なんでも出来る。撮影は不可能な事も出来る。そのことをずっと大事にしてきたのが、宮崎アニメでした。その最初の大爆発が、未来少年コナン、だったのですね。親指の力ひとつで飛行機にぶらさがり、少女を助けに行く、コナン。あんな高いところで、命知らずの行動は、どう考えたって出来るわけがない。だけど、アニメの強引なリアリティで、痛快なアクションを産んでしまうのですね。

けど、宮崎以外のジブリアニメも、そのほかのアニメも、手で書ける、なんでも出来るアニメの特長を十分に意識しているとはいえない。むしろ宮崎アニメだけが突出してるという状況がおかしい。もっとメディアの特性を、ひとりひとりのアニメ作家が考えるべきだと思いますね。

んじゃ、アニメよりもっと原初的なメディア、「絵」はどうなんでしょうか。やはり、なんといっても技、手の技だと思いますね。デッサン。構図。それと、それしか生きていく道がない、といういい意味での追い詰められ方。

ああ、だけど、ポニョ、かわいかった。ポーニョポニョポニョ魚の子、あおい、海から、やあってきた、もう、ウチの子供たちは、主題歌覚えてしまいました。早い。ちなみに声に所ジョージと長嶋一茂が出ているが、まったく意識させない。声優の生かし方がうまいなー。で、見た後、話題が絶えない。さまざまなデテイルに、わざと、ナゾと美と怖さと矛盾を埋め込んでいるからですねえ。もう職人技、毎度おなじみになっているけど、印象に残ることには、そして何でだろう、と大人も子供も考えてしまう。たいしたもんだ。ああ、そういえば前にあった息子のアニメ、あれは最悪だった。映画を5分ともたせられない。オヤジの何を見て育ったんだか。

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