秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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橋の浮世絵あれこれ

   

今週いっぱいは傘が手放せそうもないお天気ですね。


浮世絵をお探しのお客様にはいろんな方がいらっしゃいます。

ご自分のお住まいの土地が描かれた浮世絵をお探しだったり、

猫好きの方で猫の浮世絵ばかり集めている方もいます。


かなり少数派ですが、

刺青、凧や盆栽が描かれている作品をお探しの方も!

好みのポイントは人それぞれで、

お客様のお話を伺うと なるほど! と思うことが非常に多いです。


さて、本日は『橋』をテーマにした浮世絵をご紹介します。

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三代広重 『東京名勝両国橋新築図』

両国橋は隅田川に二番目にかけられた橋です。幕府は防備の面から隅田川の架橋を千住大橋のみとしていたが、明暦の大火の際橋がなく逃げ場を失い多くの死傷者が出たことから、両国橋の架橋が行われました。
流出や焼落により幾度も架け替えられ、本作は明治8年に木橋として最後の架け替えが行われた両国橋の様子です。
維新後を物語るように、洋服と着物の人々や人力車と馬車が往来しています。しかし画面右上には江戸から変わらず人々を見守る富士の姿が描かれており、近代国家建設に向かう一方でいまだ江戸の名残が感じられる街を最後の木橋となる両国橋が象徴的に物語っているようです。



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五代国政 『新規造掛永代橋往来繁華佃海沖遠望之図』

永代橋
は元禄11年に隅田川に第四番目の橋としてかけられました。橋上からの景観が有名で、「西に富士、北に筑波、南に箱根、東に安房上総、限りなく見え渡り眺望よし」といわれる程でした。本作でも三枚続きの画面右に富士がそびえ、橋の上で足を止めてその名勝を楽しむ人々の様子も描かれています。
永代橋は文化4年に史上最悪といわれる落橋事故を起こし、その後再架橋されました。
本作は明治8年に描かれたもので、新たに架けられた橋に明治という時代を象徴するかのような様々な人や舟の往来が描かれています。
永代橋はその後も災害や傷みにより幾度か再建され、現在に至っています。


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広重 『日本湊尽 東都江戸橋』
天保年間後期に描かれたと思われる日本各地の港のみを舞台に描く珍しい名所絵です。本作に描かれたのは「東都江戸橋」、現在の日本橋です。日本橋は水上交易の要所として栄えました。橋の上を絶え間なく往来する人の群れが活気ある日本橋の姿に華を添える一作です。
他にも橋をテーマにした浮世絵ご紹介しています。
japanese-finearts.com橋特集 をぜひご覧下さい。

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