秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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やんちゃな弟

   

昨日のブログでも少し触れましたが、

先日、浅草歌舞伎に行ってきました。
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浅草公会堂からの浅草寺のながめです。
この日は良いお天気で仲見世は大賑わいでした。
さて、お正月の演目と言えば
「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」
曽我五郎・十郎兄弟の仇討ちものです。
歌舞伎の中でも人気の演目ですが、
その人気の秘密は仇討ち物であることと、
なんと言っても登場人物のキャラが立っていることでしょう!
思慮深い兄の十郎、血気盛んな弟、五郎。
仇討ちの相手の工藤祐経は悪人ではなく、
自分の役目を終えたら、潔く討たれると兄弟に約束するなど、
懐の深い役として描かれます。
キャラが立っているのは訳があります。
「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」はお正月に上演し、
一座のお披露目としての役割もあったのです。
工藤祐経は一座の座頭格の役者が演じます。
今回は市川海老蔵さんが演じました。
ちなみに昨年11月の南座での上演の際は
片岡仁左衛門さんでした。

十郎を演じるのは「和事師」をいわれる、柔らかみのある二枚目の役者。
女形の役者が演じる事も多いです。

それに対して「五郎」は荒事師と呼ばれる荒々しい動きやセリフまわしが
みどころ。
やっと見つけた仇討ち相手を前に、はやる心を抑えきれず、
「堪忍袋の緒が切れる!!」と大暴れ。
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豊国? / 国貞 今昔忠孝家賀見 曾我五郎時宗(売約済み)

五郎の隈取は「むきみ隈」。若さと勇気、色気を表現しています。
これを見るだけでも、そのやんちゃな「弟」ぶりがわかりますよね。

 



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