秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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ゴッホも模写した・・・

   

先日、東京新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で

ジェームズ・アンソール展を観てきました。
(11日で終了しました。)
アンソールというとベルキーを代表する画家ですが、
一般にはあまりなじみがないかもしれません。
とはいえ、仮面や骸骨たちが踊っている作品は
とても印象的で、どこかで目にしているかと思います。
そんな、アンソール=仮面、ガイコツというイメージが強い中、
(それくらいインパクトありますから。。。)
個人的にいいなあとおもったのが、エイや牡蠣を描いた静物画。
その後グロテスクな作品を生み出したと思えない、
静謐な絵に足が止まりました。
なんでも、当時朝食のテーブルを描いた静物がヨーロッパで人気だったそうです。
そして、アンソールは浮世絵にも多大な影響を受けていたそうで、
武者絵の模写も出品されていました。
浮世絵の色使いからの影響がその後の仮面をモチーフにした
色彩豊かな絵に現れているようです。
さて、浮世絵の模写といえば有名なのは「ゴッホ」。
ゴッホが浮世絵を模写した作品も何点か残っていますが、
こちらの作品も模写しています。
1-87-308.jpg
 
なんといっても、この作品のすばらしさはなんといっても大胆な構図です。
ゴッホはこの梅の木を模写し、さらに両脇に漢字を書き込んでいます。
亀戸梅屋舗は呉服商、伊勢屋彦右衛門の別荘で、臥竜梅(がりゅうばい)という竜が伏せたような
梅の大木が見事で有名な行楽地だったそうです。
(残念ながら、明治43年の大洪水で消失してしまうのですが・・・。)
梅の構図に眼を奪われてしまいますが、奥に梅見を楽しむ江戸の庶民が描かれ、
当時の風俗を忍ばせます。

 - 展覧会, 浮世絵