銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

秋華洞の社長、田中千秋オフィシャルブログ。 近代絵画・古美術を扱う美術商。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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三人展、今週から。

      2018/10/11

江田朋哉からあたらしい茶釜が4個、鉄瓶が1個、届いた。

おお、茶釜だ。

感慨深い。

既存の茶釜はウチでも多数扱ってきた。だが職人に直接、納めてもらうのは初めての経験だ。

彼の茶釜は一見普通で全く普通でない。さりげなくケレン味がある。

しかしうるさくはない。

「あれ?」という形をしている。釜の表面の浮き彫り。環付の不思議な形。そこに彼の謎掛けがある。そして、技術的冒険がある。あえて難しい造形に挑んでいる。

江田朋哉作品 よくみると、うさぎが?



今回、この茶釜の若き作家である江田君を迎えたのは、この秋、東京美術倶楽部の企画と秋華洞の画廊で展開する「三人展」に出てもらうためだ。

数年前から秋華洞が扱ってきた鈴木博雄の機知に富んだ温かみのある世界に、私達がクロスオーバーさせたい2人を併せた展覧会だ。

今回、もうひとり新たに招いたアーティストは、根付職人の森謙次だ。

彼の根付には、ひとつひとつに愛情が篭る。

根付は江戸期に携帯品ストラップとして爆発的な人気を得た小さな彫刻のことだ。象牙や木を驚くべき技術で彫り、ユーモアとあっと驚く造形で人を驚かすその作品群は、鎖国解除後は、世界に熱狂的なコレクターを生んだ。

よく使われる素材、象牙はその素肌も美しい。だが残念ながら、世にも野蛮な法律、ワシントン条約で、象牙による根付は世界流通が難しくなっている。

森君も象牙は避けて、牙や珊瑚によるものが多い。制約があっても、彼は現代作家ならではの美しくかつユーモアに満ちた作品を発表している。

鈴木博雄の事も紹介しておこう。彼は古典的な日本画スタイルで、様々な物語の人物を動物や子供に置き換えて、ユーモアあふれる作品を発表している。凡百の作家と違うのは、芸大修復科卒業の知識を総動員して、限定された絵の具と、堅牢な画面づくりと相俟って、「本当の伝統とは何か」を常に問うているところである。彼のアイデアの引き出しは豊富で、一体次にどんな作品を仕掛けてくるか、私達は想像もつかない。・・・展示の都合上、いろいろ前もって知りたいのだけれど、ドンと何か仕掛けてくるのが彼である。

今回の取り合わせが吉と出るか邪とでるか、本当の事言えばドキドキである。だが、その品質は保証する。お互いに引き立て合う展示としたい。


三人に共通するのは伝統と技術の深みを知る事と、現代の人の心を弾ませるユーモアを持っている事だ。鈴木は既に売れっ子で、入手困難。森もすこぶる人気だ。江田は大学院出たばかりでこれからだけれども、揺るぎない技術を持っている。


是非見てほしい。

まずは今週から始まる「東美アートフェア」で展示し、その後秋華洞ギャラリーでも展示する。

展覧会情報

鈴木博雄・森謙次・江田朋哉 三人展

前期:10月12日(金)~14日(日) 東美アートフェア 
場所:東京美術倶楽部 秋華洞ブースNo3-22

後期:10月16日(火)~21日(日)
場所:ぎゃらりい秋華洞 時間:10:00~18:00 会期中無休 入場無料

※前期・後期で別会場になりますのでご注意下さい。

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