銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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ブローカー

   

あの人は、単なるブローカーだから、などという言葉を聞くと心が曇る。

本質的には、商売はすべてブローカーではないか。

仕入れて、販売して、利益を得る。

業界内では、純粋に市場間の差額で利益をもとめるヒトを「ハタシ」と呼ぶ。ヒトによっては、侮蔑的にこの言葉を使う人もいるかもしれないが、それも一つの生き方である。

私は、たまさかカタログ販売や、店頭販売をやっているが、別段エライ、とも思っていない。

純情なコレクターがエライとも、学者がエライとも、一流オークションのスペシャリストがエライ、とも思っていない。

みな、働いて、知恵を使って、利益を得る。ヨノナカに跳ね返されれば、うまくいかないのは、どの職種でも同じである。

かくいう、私でも、このヒトはカネのことしかないな、気持ち悪いな、と思わせる人種はいる。あの人はブローカーだから、なんていう台詞は身内でも言うケースがある。その場合は何かいわんとすることがあるのだろう。

もうなくなった方だが、「イヤだねー、ブローカーみたいなヒトばっかりで」という商人がいた。もろにその人はブローカーとしかいいようがない(仕入れをしないヒト)だったので、マコトに可笑しくなったが、本人はジブンだけは正しい、と思っている。

ニンゲンがほかのいきものを食べてしかいけないように、ヒトはなんらかの意味で、ヒトの世話になって生きている。ブローカー、という言葉を他人に使うヒトは、ジブンだけは正しい、という感覚で発言していないか。

と、思う。

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