井上有一を
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書家。東京に生まれる。上田桑鳩に師事し書を学ぶ。昭和27年、森田子龍らとともに墨人会を結成、機関誌『墨人』の編集を担当する。1950年代初頭に長谷川三郎など抽象美術家との交流を深め、箒筆やエナメルを用いた線的表現を試みる。1957年第四回サンパウロ・ビエンナーレ展に《愚徹c》を出品し注目される。1970年「第四回日本現代書」展出品。美術評論家・海上雅臣と出会う。没後1986年にシブヤ西武シードホールで開催された「生きている井上有一」展の開催によってその名が広く知られるようになった。職業芸術家となることを拒否し、生涯を小学校教師として過ごした。
豪快な書はポップアートとも共鳴し、現代美術の文脈で国内外から根強い支持を得ている。
また、自らの戦争体験を表現した《東京大空襲》《噫横川国民学校》など、鬼気迫る作品でも強烈な印象を与える。
「前衛書」の巨匠・井上有一
井上有一の書といえば、巨大な紙に力いっぱい書き殴られた墨の塊のような書のイメージが浮かびます。第二次世界大戦後の日本に巻き起こった「前衛書」運動の中心で、技巧に囚われず心を吐露するように書を書き、「書の解放」を提唱した井上有一。
ここでは井上有一の活動と、その評価の理由について詳しく解説します。
日本近代美術において、「書」の立場は不確かなものでした。それは、欧米の美術制度を参照した際に「書」という枠がなかったからです。しかし、伝統的な日本の美意識の中に「書」を鑑賞するという意識は残っていました。
このような時代に、井上有一は上田桑鳩の元で書を学び、1950年1月に開催された「書道芸術院展」に《自我偈》を出品し書家としてデビューしました。同じく上田門下の森田子龍と出会い、1952年に前衛書団体「墨人会」を結成します。
1950年代はフランスのアンフォルメル運動やアメリカのアクション・ペインティングが流行し、日本にもその影響がありました。井上有一は1957年に「第四回サンパウロ・ビエンナーレ」展に《愚轍c》を含む三作品を出品しました。この作品は、今日国際的な評価を得ている井上有一が、世界に知られる第一歩となった作品と言えます。
しかし欧米におけるアンフォルメルやアクション・ペインティングの流行が下火になるにつれ、井上有一が海外展に出品する機会も減少していきました。そのような折に出版されたのが、井上有一初の作品集『花の書帖』です。井上有一による二十五点の「花」と西脇順三郎による詩が収録されたこの本は、井上有一の芸術家としての大きなターニングポイントとなりました。
海外の人からすれば、漢字とは意味を持つ文字ではなく、単なる画として見ることができ、それ故に井上有一の書は抽象画と同じ立場から評価されることができました。しかし抽象画の熱が冷めた後、井上有一の書は漢字の“形態”ではなく“意味”へと転じていったのです。
井上有一の査定・買取
井上有一の作品は現在も日本・海外で高い評価を得ております。書かれている文字にもよりますが、「花」のような井上有一を代表する文字や、形の面白い字などが人気の傾向にあり、高値で取引されています。
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