骨董品の鑑定とは?専門家が語る正しい認識と必要性

協同組合美術商交友会 理事長/全国美術商連合会 理事/国際浮世絵学会 理事/松風会 会主/東京美術倶楽部 会員/東京美術商協同組合 会員/浮世絵商協同組合 会員/築地ロータリークラブ 所属
骨董品の鑑定といえば、テレビ番組で鑑定士が品物を見て、その場で値段を出しているシーンを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、「実際の骨董品鑑定とはどういうものなのか?」を知るには、その複雑性や業界の事情などを深く理解する必要があります。
この記事では、骨董品の鑑定とはそもそも何なのか、その目的、メリット、依頼方法、費用、注意点に至るまでを徹底的に解説します。遺品整理や倉庫の片付けなどで思いがけず手元に来た骨董品を、きちんと見極めたい方に向けたガイドです。
- 骨董品の鑑定は作品の美術的・文化的価値を総合的に見極める行為です。
- 近代美術の鑑定とは異なり、真贋よりも美術的価値が重視され、骨董品において査定と鑑定は一体の流れとして扱われます。
- 茶道具、陶磁器、漆器、仏教美術など、骨董品のジャンルによって、鑑定において重視されるポイントは変わります。
- 売却を前提とする場合は、絵画骨董買取プロのような販路を確立している美術商への査定依頼が現実的で、無料査定から始めるのが安心です。
目次
骨董品の鑑定とは何を意味するのか。
「骨董品の鑑定」と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、テレビ番組で鑑定士が作品を一目見て「本物か偽物か」を即座に判断し、買取価格や時価を提示するシーンではないでしょうか。 しかし、厳密にはこのような番組で行われている鑑定は、専門的な意味での「骨董品の鑑定」とは異なります。
この違いを理解するために「骨董品」と「鑑定」という言葉をそれぞれ分けて考えてみましょう。
「骨董品」の定義とは
「骨董品」と聞くと、古い陶器や工芸品などをひとまとめに表す言葉としてイメージされる方が多いかと思います。基本的にはその理解で大きく間違っているわけではありませんが、厳密にはもう少し細かく定義することが可能です。
まず、そのような“過去に制作された古い作品”は、品目ごとに分類することができ、「骨董品」とはその中の一部を指す言葉です。また、作品の種類だけでなく、制作された時代による分類も関係してくるため、一般的なイメージとは異なり、本来は多様なジャンルに分けて考える必要があります。

たとえば、某テレビ番組などで紹介される作品は、「骨董品」に限らず、さまざまな品目やそれぞれの時代背景を持つ美術品が登場しています。そのため、これらの番組は「骨董品の鑑定番組」というよりも、「骨董品を含む美術作品の鑑定番組」と捉えるのが正確です。
「鑑定」の定義とは?「査定」とは違う?
この世界における「鑑定」という言葉は、作品の時代背景によってその意味が変化します。
そもそも「鑑定」という言葉や行為が定着したのは、明治以降の近代美術の領域からだと考えられており、そこにはいくつかの背景があります。
- 「誰の制作物か」という評価軸が重視されるようになったこと
- 贋作の流通が増加したこと
- 真作と贋作を見分けるための技術的・資料的な要素が多様化したこと
これらの理由から、近代美術以降の作品においては、本物か偽物かを見分ける行為としての「鑑定」が盛んに行われるようになりました。そして、その鑑定によって真作と判断された作品に対して、買取金額を提示する行為が「査定」と呼ばれます。
一方で、「骨董品」を含む江戸以前の作品においては、真贋の判定よりも、美術的価値や文化的背景が重視されます。作品の良さや古さ、そして歴史的価値が評価の中心となるため、鑑定という行為の中には査定的な要素が多く含まれているのが実情です。
そのため、これらの作品に関しては、「鑑定」と「査定」を厳密に区別して理解する必要性はそれほど高くありません。両者は密接に関係しており、価値の見極めと価格の提示が一連の流れとして扱われることが一般的です。
このように、「鑑定」という言葉は、作品の時代やジャンルによって意味や役割が大きく異なります。したがって、文脈に応じてその定義を正しく整理し、使い分けることが重要です。
ただ、実際、多くの買取業者は便宜上「鑑定」という言葉を使用しています。

骨董品鑑定を構成する要素
骨董品の鑑定とは、単に真贋を見極めるだけの行為ではありません。作品の持つ美術的・文化的価値を評価し、必要に応じて市場での価格を見積もる査定的な判断まで含めた、総合的な価値判断のプロセスです。
そのため、骨董品の鑑定は以下の3つの要素によって構成されていると考えることができます。
真贋判定
骨董品の鑑定において、真贋判定は確かに一つの要素ではありますが、近代美術のように「本物か偽物か」が鑑定の中心となるわけではありません。骨董品の世界では、作者不詳や工房制作の作品が多く、そもそも「贋作」という概念が曖昧な場合もあります。そのため、真贋判定はあくまで補助的な位置づけであり、作品の価値を判断するための一材料として扱われます。
鑑定士は、作品の来歴や技法、素材、形状などを総合的に見ながら、流派や時代性との整合性を確認します。真贋の判断は、作品の本質的な価値を理解するための入口であり、それ自体が目的ではないという点が、近代美術との大きな違いです。
価値評価
骨董品鑑定において最も重要な要素が、この価値評価です。作品がどの時代に作られ、どのような技法が用いられ、どのような文化的背景を持っているかを読み解くことで、美術的・歴史的な価値を見極めます。
特に江戸以前の作品においては、「誰が作ったか」や「本物かどうか」といった真贋の判断以上に、作品そのものが美術品としてどれほど美しいか、完成度が高いかという点が重視されます。たとえ作者が不詳であっても、造形の美しさや技法の精緻さ、素材の選び方などから、作品としての価値が高く評価されることも少なくありません。
また、作品がどのような人々に使われ、どのような文脈で伝えられてきたかといった来歴も、価値評価において重要な要素となります。保存状態や付属品の有無も含めて、作品の本質的な価値を総合的に判断することが、骨董品鑑定の中心的な目的です。
この価値評価は、所有者が作品とどう向き合うかを考えるうえでも重要な指針となり、相続や寄贈、展示などの判断にも大きく関わってきます。
- 制作年代の特定:作品がいつ頃作られたかを判断し、歴史的価値を見極める
- 技法・素材の分析:どのような技術で作られ、どんな素材が使われているかを確認する
- 文化的背景の理解:茶道・仏教・武家文化など、作品が属する文化体系との関係性を読み解く
- 来歴(プロヴナンス)の確認:誰が所蔵していたか、どのように伝わってきたかを記録や箱書きなどから検証する
- 保存状態の評価 :傷みや補修の有無、経年変化の程度を確認し、価値への影響を判断する
- 作品としての美しさの判断:造形の完成度、意匠の洗練度、全体の美術的バランスなどを目視で評価する
- 市場における希少性の把握:同様の作品がどれほど流通しているか、希少性が高いかどうかを調査する
査定的判断
価値評価の結果をもとに、現在の市場においてどの程度の価格がつくかを見積もる工程が、査定的判断です。先述の通り、骨董品の場合、査定は鑑定の延長線上にあり、明確に分離されるものではありません。美術商が行う骨董品の鑑定では、作品の文化的価値を踏まえたうえで、実際の取引価格を提示することが一般的です。
査定的判断は、売却や保険加入、財産評価など、実務的な判断材料としても重要な役割を果たします。特に骨董品のように市場価格が流動的で、保存状態や付属品の有無によって大きく変動するジャンルでは、鑑定と査定が一体となって扱われることが自然な流れとなっています。
骨董品におけるジャンルごとの鑑定
骨董品と一口に言っても、その対象は非常に多岐にわたります。茶道具、陶磁器、漆器、仏教美術、武具、書画、民具など、それぞれのジャンルには独自の文化的背景と評価軸が存在し、鑑定の際に重視されるポイントも異なります。
ここでは、代表的なジャンルごとに、主に価値評価の観点から、鑑定において何が重視されるのか、どのような視点で価値が見極められるのかを解説していきます。
茶道具(茶碗・水指・茶入など)
茶道具は、茶道という文化体系の中でどのように位置づけられていたかが評価の要となります。形状や釉薬の景色、手取りの感触など、実際の茶席での使い勝手や佇まいが美しいかどうかが重視されます。流派によって好まれる意匠や季節感も異なるため、茶道具としての適合性も価値に直結します。箱書きや伝来の記録が残っていれば、茶人や家元による認定が裏付けとなり、文化的価値が高まります。
陶磁器(伊万里・京焼・唐物など)
陶磁器は、産地ごとの技術的特徴と美術的完成度が評価の中心です。染付の濃淡や絵付けの構図、器形のバランスなど、窯元ごとの特徴的な造形様式・美意識がどれほど反映されているかが重要な判断材料となります。渡来品である唐物は、日本文化との融合や受容の歴史も含めて価値が見極められます。保存状態が良好で、欠けや補修が少ないものほど高く評価される傾向があります。
漆器(蒔絵・根来・輪島塗など)
漆器は、漆の質感や加飾技法の完成度が評価の中心となります。蒔絵や螺鈿などの装飾が丁寧に施されているか、漆の艶や透明感が美しく保たれているかが重要です。根来塗や輪島塗など、地域性の強い漆器では、土地の技術と美意識がどれほど反映されているかが価値を左右します。経年変化が味わいとされる一方で、保存状態の悪化は価値を損なうため、状態の良さも欠かせない評価要素です。
仏教美術(仏像・仏具・曼荼羅など)
仏教美術は、宗教的背景と精神性が評価の中心です。仏像であれば、仏像や彫刻の全体の形を指す像容の穏やかさや着衣によってできるひだの表現を指す衣文・衣文線の流れ、表情の深みなどが信仰の対象としてふさわしいかどうかという視点で見られます。曼荼羅や仏具も、宗派ごとの様式や儀礼との関係性が重視され、宗教的意味を持つ作品としての完成度が問われます。美術的な美しさと精神的な深みが両立しているかどうかが、価値の核心となります。
武具(刀剣・甲冑・槍など)
武具は、技術的な精度と歴史的背景の両面から価値が判断されます。刀剣であれば、刃文の美しさや地鉄の質、造形のバランスなどが美術工芸品としての完成度を示す要素となります。甲冑や槍なども、装飾の様式や構造の工夫が武家文化の美意識を反映しているかどうかが評価されます。実用品であると同時に、権威や美意識の象徴でもあるため、歴史的文脈と造形美の両面から価値が見極められます。
書画(掛軸・巻物・墨蹟など)
書画は、筆致の美しさや画題の選定、構図の完成度が評価の中心です。書作品では、書風の品格や精神性、墨の濃淡や余白の取り方などが作者の思想や時代性を反映しているかが見られます。絵画作品では、画題の選び方や筆遣いの巧みさ、色彩の調和などが美術的価値を左右します。掛軸や巻物は、表装の様式や素材の質も含めて、全体としての美しさが問われます。
民具(箪笥・農具・玩具など)
民具は、生活文化との関係性が評価の中心です。箪笥(タンス)や農具などの実用品は、地域性や用途、素材の使い方などから、どのような暮らしの中で使われていたかを読み解くことが鑑定の目的となります。玩具や民芸品なども、民俗学的な視点から価値を判断する必要があり、単なる古さではなく、文化的背景や技術の継承が評価の対象となります。生活史や地域文化への理解が不可欠なジャンルです。
骨董品を鑑定するメリット
骨董品の鑑定は、単に売却のための価格を知る手段ではありません。作品が持つ美術的・文化的・歴史的な価値を見極めることで、所有者にとって多くの気づきや判断材料をもたらします。ここでは、骨董品を鑑定することで得られる主なメリットを、価値評価の観点からご紹介します。
- 思わぬ価値が付く可能性
- 骨董品にまつわる知識を深められる
いずれも、品物をより良い形で引き継ぎ、活かすための大切なポイントです。
思わぬ価値が付く可能性
骨董品の鑑定では、真贋の判定よりも作品そのものの価値を見極めることが重視されます。そのため、作者不詳であっても、技法や造形の完成度、文化的背景が優れていれば、高い評価を受けることがあります。
たとえば、倉庫や押し入れから見つかった古い茶碗や掛軸が、実は特定の流派で重宝されていた道具だったり、地域の民俗文化を象徴する貴重な品だったりすることもあります。見た目の地味さや知名度の有無に関係なく、作品としての美しさや文化的意義が認められれば、思いがけない価値が付く可能性があるのです。
骨董品の知識を深める
鑑定を通じて得られるのは、価格情報だけではありません。むしろ重要なのは、作品がどのような時代に生まれ、どのような文化の中で使われてきたのかを知る機会になることです。
たとえば、茶道具であれば、どの流派に属し、どの季節や趣向に合わせて使われていたのか。漆器であれば、どの地域の技術が反映されているのか。仏教美術であれば、どの宗派の信仰に基づいて制作されたのか。こうした背景を知ることで、作品に込められた思想や美意識、さらには当時の人々の暮らしや価値観までを感じ取ることができます。
また、来歴が判明することで、作品がどのような人々に愛され、どのように伝えられてきたかという物語にも触れることができます。鑑定は、品物との新たな関係性を築くきっかけとなり、所有者自身の理解と愛着を深める貴重な体験となるでしょう。
鑑定書とは?
鑑定書とは、作品に対して専門家が行った鑑定の結果を文書として証明するものです。特に近代以降の美術作品では、真贋の判定が重要視されるため、作家名や制作年代、技法などを明記した鑑定書が発行されることが一般的です。これにより、作品の信頼性が担保され、売買や相続、保険加入などの場面で客観的な根拠として機能します。
明治以降の近代美術作品における鑑定書は、作品の市場価値や法的な扱いにも影響を与える重要な書類とされています。
骨董品における鑑定書の位置づけ
骨董品の世界では、「鑑定書」という形式的な証明書が重視されることは少なく、評価のあり方も近代美術とは大きく異なります。江戸以前の作品には、作者不詳や工房制作のものが多く、真贋の線引きが曖昧なケースも少なくありません。そのため、作品の価値は「本物かどうか」ではなく、「どのような文化的背景を持ち、どのように伝えられてきたか」によって判断されます。
このような作品に対しては、鑑定書の代わりに、美術商や専門家による口頭での評価、伝来記録、箱書き、流派や家元による認定などが価値の裏付けとして機能します。特に茶道具などでは、茶人による箱書きが鑑定書以上の意味を持つこともあり、形式的な証明よりも文化的な理解と実績に基づいた評価が重視されます。
つまり、骨董品の鑑定では「鑑定書の有無」よりも、「誰がどのように評価したか」「どのような文脈で伝えられてきたか」が価値の根拠となるのです。形式的な書類よりも、文化的な信頼性と伝統的な評価体系が重視される点が、近代美術との本質的な違いと言えるでしょう。
鑑定士・鑑定機関とは?
骨董品の鑑定を誰が行うのかという点は、多くの方が気になるポイントです。一般的には「鑑定士」や「鑑定機関」といった言葉が使われますが、その役割や制度はジャンルによって大きく異なります。特に骨董品においては、近代美術とは評価体系が異なるため、鑑定の担い手も異なる性質を持っています。
骨董品における鑑定士・鑑定機関について
骨董品の世界では、江戸以前の作品が対象であり、特定の人物や機関が「真作かどうか」を断定するような制度は基本的に存在しません。
実際の鑑定は、美術商が担うことが一般的です。彼らは、長年にわたって古美術品を扱ってきた経験と知識をもとに、作品の来歴や技法、保存状態などを総合的に判断します。表向きには「査定」として案内されることが多いですが、実質的には鑑定的な評価を含んでおり、裏では専門家や研究者と連携しているケースもあります。
さらに、骨董品の鑑定には査定的判断が自然に含まれており、売却を前提とする場合には「高い査定能力を持つ業者」に依頼することが有利に働くことがあります。高く査定できる業者は、単に目利きが優れているだけでなく、買い取った後の販路が確立されているという強みを持っています。国内外のコレクター、美術館、茶道具専門の流通ルート、オークションハウスなど、販売先が明確に存在している業者は、再販の見込みがあるため、初期の査定額にも反映させることができるのです。
骨董品の鑑定では、資格や制度よりも、実績と信頼が重視される世界です。誰がどのような視点で評価したか、どのような文化的文脈に基づいて判断されたかが、作品の価値を左右します。そしてその評価が、査定額という形で具体的な金額に結びつくことも少なくありません。
【豆知識】鑑定士に資格はいらない
骨董品の鑑定を行うにあたって、国家資格や公的な認定制度は存在しません。つまり、極端に言えば誰でも「鑑定士」と名乗ることができるのが現状です。だからこそ、依頼する側がその人物の経歴や実績、所属団体などをしっかり確認することが重要です。
- 鑑定の実績(件数・年数)
- 関連する実績(出版や研究物)
- 傾向と強み(品目の専門性)
- 説明・対話能力(説明責任の務め)
- 肩書や所属(組織の信頼性)
信頼できる美術商や業者は、代々古美術の世界に携わってきた背景を持ち、専門ジャンルに特化した知識と審美眼を備えています。表立って「鑑定士」と名乗らなくても、実質的に鑑定を担っているプロフェッショナルは数多く存在します。
【豆知識】絵画の分野には専門家がいる
一方で、絵画などの近代美術作品においては、特定の作家に対して「この人物(または団体)が鑑定を行う」と定められた制度が存在します。これは、贋作の流通が問題となるジャンルであり、真贋の判定が商業的にも学術的にも重要な意味を持つためです。
こうした作品には「所定鑑定人」や「所定鑑定機関」が明確に存在し、鑑定書の発行を通じて作品の信頼性を保証する仕組みが整えられています。骨董品とは異なり、絵画の分野では制度的な裏付けが重視される傾向があります。
骨董品の鑑定を依頼するには
骨董品の鑑定を依頼する際は、まず目的を明確にすることが大切です。売却を検討しているのか、文化的背景を知りたいのか、相続や保険のための評価なのかによって、依頼先や対応内容が変わってきます。特に売却を前提とする場合は、対象ジャンルに強く、販路を持つ業者を選ぶことで、より納得のいく価格提示が期待できます。
鑑定の依頼先
何度も解説していますが、骨董品においては「鑑定」と「査定」が明確に分かれているわけではなく、実際には一体のものとして扱われます。作品の美術的・文化的価値を見極めたうえで、市場での価格を判断するまでが鑑定の流れであり、査定はその延長線上に位置づけられます。
そのため、売却を前提とする場合は、買取業者に「査定」として依頼する形でも問題ありません。多くの業者は査定の中で、来歴や技法、保存状態などを踏まえた価値評価を行っており、実質的には鑑定を含んだ対応となっています。特に販路を持つ業者であれば、再販の見込みを前提にした価格提示が可能なため、査定額にも説得力があります。
とはいえ、「そもそもこれが骨董品なのかどうか分からない」「査定で済むのか、鑑定機関に頼むべきなのか」と迷う方も少なくありません。そのような場合は、まずは信頼できる、あるいは信頼できそうな業者や美術商に相談してみるのが良いでしょう。初期段階では、専門的な判断よりも、誠実な対応と経験に基づく助言が大きな手がかりになります。
鑑定費用と鑑定期間
鑑定にかかる費用は、依頼先や対応内容によって異なります。専門的な調査や出張対応を希望する場合は、費用が発生することがありますが、絵画骨董買取プロでの買取では、無料査定を行っています。また、相続などで調査のみをご依頼の場合は、有料による査定もお引き受けしていますが、いずれにせよ、まずはご相談ください。なるべく費用をかけずに初期の判断を得ることがよいでしょう。
また、査定を通じて価値評価が含まれる場合も多いため、売却を検討している方は、買取業者への相談が実質的な鑑定の入り口となります。一方で、学術的な背景や文化的意義を深く知りたい場合は、美術館や専門研究者などに依頼する選択肢もあります。この場合は、価値の評価はしないことが一般的です。
鑑定期間は、即日で済むケースもあれば、来歴調査や専門家との照合が必要な場合は数日〜数週間かかることもあります。目的に応じて、余裕を持ったスケジュールで依頼するのが望ましいでしょう。
鑑定の流れ
鑑定依頼の流れをあらかじめ把握しておけば、スムーズに進めることができます。以下で基本的なステップをご紹介します。
①品物の情報整理
まず、手元の骨董品について分かる範囲で情報を整理します。購入時のレシート、譲渡された経緯、付属品(箱、布、書付など)があれば、あわせて準備しておきましょう。
②鑑定先の選定・予約
鑑定を依頼する先を選びます。インターネットでの評判や実績を確認し、可能であれば問い合わせや予約を行いましょう。鑑定会(持ち込み無料)を実施している美術商もあります。
③持ち込み or 配送鑑定
指定の日時に品物を持ち込む、または安全に梱包して配送します。持ち込みの場合、その場で簡易的な説明や保存方法について相談できるケースもあります。
④鑑定結果の受領
鑑定結果を受け取ります。希望すれば別料金で鑑定書の発行も可能です。
⑤今後の方針決定
鑑定結果をもとに、保存・保有・売却など次のアクションを検討します。
鑑定依頼時の注意点
鑑定を依頼する際には、いくつかの注意点を頭に入れておくと安心です。最も大切なのは、信頼できる鑑定士を選ぶこと。前述のとおり、鑑定士には国家資格がなく、誰でも名乗れるからこそ、経歴や所属団体、鑑定歴などをしっかり確認しましょう。
- 目的を明確に伝えることで、対応が的確になります。
- ジャンルに特化した業者を選ぶと、専門的な判断が得られます。
- 査定額だけでなく、販路や販売実績なども確認すると安心です。
- 箱書きや伝来記録がある場合は、必ず一緒に提示しましょう。
- 費用や対応範囲は事前に確認し、納得のうえで依頼することが大切です。
鑑定の必要性を判断するポイント
骨董品を前にして、「これは鑑定すべきものなのか」「査定で済むのか、それとも専門機関に頼むべきか」と迷う方は少なくありません。実際には、売却を考えている場合も、価値を知りたいだけの場合も、まずは査定業者に相談するのが最も現実的で柔軟な選択肢です。
「売りたい」と思っている場合は、できるだけ早めに査定を受けることで、保存状態が良いうちに判断ができ、販路を持つ業者であれば適正な価格での売却につながる可能性も高まります。
「骨董品かどうかも分からない」「とりあえず価値を知りたいだけ」という場合でも、査定業者への相談は有効です。無料査定を行っているところも多く、初期段階では専門機関に依頼する必要はありません。まずは信頼できる、あるいは信頼できそうな業者に話を聞いてもらうことで、品物の性質や今後の扱い方についての方向性が見えてきます。
鑑定の必要性は、目的と状況によって変わりますが、迷ったときは「価値を知ること自体に意味がある」と考え、早めに動くことが後悔のない選択につながります。
まとめ
骨董品の鑑定とは、作品の美術的価値(造形の完成度や美しさ)と文化的価値(歴史的背景や使用文脈)を見極める行為です。ジャンルや作品によって評価の視点は異なり、何が価値とされるかも一様ではありません。
特に骨董品の世界では、真贋判定よりも美術的・文化的価値の評価が重視され、鑑定と査定は分離されず一体の流れとして扱われます。形式的な鑑定書よりも、来歴や箱書き、専門家の審美眼が価値の裏付けとなることも多く、信頼できる目利きの存在が不可欠です。
もし手元の品物について価値を知りたい、正しく見極めたいとお考えなら、ぜひ一度、絵画骨董買取プロ・秋華洞にご相談ください。骨董の本質に向き合う誠実な対応を心がけてまいります。
骨董品の鑑定に関するよくある質問
鑑定後、その場で買い取ってもらうことはできる?
絵画骨董買取プロでは、鑑定後その場で買い取ることが可能です。一般的に「絵画の専門鑑定人」は鑑定料を請求しますが。買取はしません。
写真だけの鑑定は信用できる?
簡易的なアドバイスは可能ですが、正式な鑑定は実物の状態や材質などを直接確認しなければ行えません。本格的な鑑定には現物提出が必要です。
鑑定の結果、偽物だった場合は処分してもらえますか?
まず、偽物という場合でも、記事で解説してきた通り、骨董の価値は相対的なもので、価値が付く場合があります。また、所定鑑定人により真偽が明快な場合も、ある程度の価値がある場合もあります。いずれにせよ、処分を希望する場合は、ご相談ください。
買取業者にとりあえず相談してみても良いのでしょうか
はい、問題ありません。まずは無料相談いたします。出張もしております。
骨董品や美術品は、単なる財産ではなく、受け継がれてきた「時間」と「想い」そのものです。その価値を守り、次代へつなぎ、多くの方に触れてもらうため情報発信を継続していきます。
日本美術全般の鑑定・査定を得意としており、コラムだけではなく、youtubeで絵画の解説動画も発信しています。ぜひご覧ください。












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